香水の匂い
久しぶりに、好きな人に会った。
いつも通り、私が10分遅れて着いた。
言われた場所に行っても、彼はいなくて、
キョロキョロしていたら、背後から口笛が聞こえた。
彼が、笑いながらそこに立っていた。
「遅れてごめんね」いつも私が言う言葉。
彼は哀しそうな顔をして、まただ〜と笑った。
久しぶりに、彼の匂いがした。
どこかで嗅いだことのある、香水の匂い。
どちらかというと、私の好みではない匂い。
でも、彼がつけてるからいい匂いに感じる。
きっと、彼以外がつけていたら少し嫌になるような。
そんな香水の匂いがした。
歩きながら会えない間の話をしている間も、
おとなしく信号を待っている間も、
お店に入るドアを開けてくれる時も、
ご飯を食べて立ち上がった時も、
いつもの彼の匂いがした。
妙に落ち着いて、くすぐられる匂い。
出会ったばかりの頃から、変わらない匂い。
最初は少し苦手だったこの匂いも、
今は私の、お気に入りの匂い。