撤回
嘘だったと思いたい。
まさに、 女心は秋の空だと思う。
昼間はあんなにキラキラとした恋心に似たものを書いていたのに、今はそれを信じたくない。
彼に彼女がいるのかもしれない。
そう思うだけでもう何もやる気が起きない。
言葉にすればするほど感情が浮き彫りになる。
まだ、好きにはなっていない、恋ではないと。
信じているから、自分の曖昧な気持ちを。
曖昧な部分を一生懸命見つけようとしている。
目が合うと笑うのは、私が彼のことを無意識に目で追っているからなのかもしれない。
そう思うと無性に恥ずかしくなってくる。
それで、撤回したくなったというわけだ。
まあ、彼が優しいのは変わらない事実だけど。
そんな彼が私は少し気になっているのも事実。
どうしようもない気持ちを抱えて、彼に接していたくない。ちょっとバレてもいいくらいの気持ちである。
まだ、恋とは認めたくない気持ちだけれど。
次会ったら、もう唐突でもいいから。
彼女はいるの?とだけ、聞こうと思う。
彼はきっと、ゆっくりと、へたくそな日本語で答えてくれるはずだ。